アラン・フルニエの『モーヌの大将』が原作のフランス映画で、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ監督による1966年の作品。先日、NHK衛星で放映されたので、久しぶりに見ることが出来てうれしかった。ウェブではあまりこの映画について語っている人がいないのが残念。仕方がないので自分で書いておく。この映画をひとことでいうと、「青春の始まりと終わりを流麗なタッチで幻想的に描いた作品」、といった具合になるだろうか。多分、ある時代の日本の少女漫画、もしかしたら、あすなひろしにも影響を与えているかもしれない。なんといっても特徴的なのは、監督の父親であるキント・アルビコッコによるカメラワークで、ほぼ全編、広角レンズで撮られている。そのカメラは絶え間なく動き回り、パンやトラックバック、トラック・アップを繰り返す。加えて、ソフトフォーカス、ハレーションの多用、レンズの前にワセリンか何かを塗ったガラス板を置いて撮ったと思われる不規則に拡散された光、といった具合で、当時としてはかなり技巧的な作品だ。あまりにも技巧的すぎて、ストーリーが追いにくくなっているくらいなのだが、その独自のスタイルと映像美は今見ても充分に魅力的で、いつまでも心に残る。誰にでもお勧めできる映画とは言い難いが、好きな人は熱狂的に好きになれる映画だといえるだろう。★★★☆ |
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